
こんにちは。
カメラマンの松山文弥です。
今回撮影したのは、
キッチンカー「Berry」さんでローストビーフ丼を作っている途中の一枚です。
以下から敬称略。
写真の中心にあるのは、
まだ完成していないローストビーフ丼。
ご飯の上に盛り付けられる直前の肉が容器いっぱいに重なっています。
完成した料理はもちろん大切ですが、
僕がこの場面で残したかったのは「この一杯を誰かが作っている」という実感でした。
完成した丼ではなく、ローストビーフが重なる瞬間を主役に
写真を見ると、中央の容器に入ったローストビーフへ自然に目が向きます。
淡い色の容器の中で、
肉のやわらかな赤みが一番強く見えるからです。
右側にはタレのかかったご飯があり、
周囲にはこれから使われる容器が並んでいます。
ここで容器やご飯まで整理して消してしまえば、
商品写真としてはすっきりするかもしれません。
ただ、この写真では残すことを選びました。
ローストビーフだけを切り取るより、「今まさに一杯が組み上がっている」という
Berryの仕事の流れが見えるからです。
料理そのものだけではなく、提供する直前の時間まで
ブランドの一部として写したいと考えました。
手前の作り手をぼかして残した理由
画面の左から手前にかけて、
作業している人の身体が大きく写り込んでいます。
顔も手元もはっきりとは見せていません。
それでも、この存在があることで
写真は単なる料理の記録ではなくなります。
僕は撮影中、ローストビーフだけがきれいに見える位置へ移動するのではなく、
あえて作り手越しに狙いました。
手前を大きくぼかし、
その奥にある肉へ視線が抜ける距離を選んでいます。
何を写すかと同じくらい、
何を「見せすぎないか」も写真では大切です。
人物を説明しすぎず気配として残したことで、
見る人はキッチンカーの中から調理を覗いているような感覚になります。
明るい光で、肉の色とやわらかさを見せる
ローストビーフには明るくやわらかな光が入り、
表面の赤みや薄く切られた肉の重なりが見えています。
ここで影を強くしてドラマチックに見せるより、
Berryの料理として「おいしそう」「やわらかそう」と感じられることを優先しました。
特に肉料理は、光の当たり方ひとつで硬く見えたり、
色が沈んだりします。
現場では光がきれいだから撮るのではなく、
その光を受けたときに食材がどう見えるかを見ています。
この場面では、容器の白さが光を受けながらローストビーフの色を引き立てていました。
光を足して派手に作り込むより、
そこにある明るさを生かすほうが、このキッチンカーの軽やかな空気にも合うと感じました。
容器が並ぶ雑多さも、Berryが営業している証になる
ステンレスの作業台、
開いたフード容器、
タレのかかったご飯。
画面には調理中だからこそ存在するものがいくつもあります。
僕は店舗や飲食店の撮影で、
現場を必要以上に整えすぎないようにしています。
もちろん、主役を邪魔するものは整理します。
ただ、すべてを消してしまうと、
その店で働く人の温度まで消えてしまうことがあります。
この写真では中央のローストビーフを軸にしながら、
右上のご飯や周囲の容器をフレームに残しました。
完成へ向かう前後の工程が一枚の中でつながり、
Berryが実際にお客様へ料理を届けている場所だと伝わるからです。
「おいしそう」の少し手前にあるものまで写真にする
飲食店やキッチンカーの写真というと、
完成したメニューをきれいに撮ることが最初に浮かぶと思います。
それだけでは伝わらない魅力があります。
肉を切る。
容器を並べる。
ご飯を盛る。
ローストビーフを重ねる。
その積み重ねの先に、お客様が受け取る一杯があります。
今回の写真で僕が残したかったのは、
まさにその途中です。
SNSやWebサイトで完成写真の間にこうしたカットが入ると、
商品だけではなく
「どんな場所で、どんな人が作っているのか」
まで想像しやすくなります。
写真の役割は、料理をきれいに見せるだけではありません。
まだBerryを知らない人が写真を見たときに、
食べてみたいと思う理由を少しずつ増やすこと。
そのために僕は、完成した料理と同じくらい、
完成するまでの風景にも目を向けています。
キッチンカーの限られた空間だから写せる距離感
キッチンカーの中は決して広くありません。
撮影できる位置も限られます。だからこそ、
広く見せようとするより、その近さを写真の魅力に変えることがあります。
この一枚も、作り手との距離が近いからこそ生まれた前景の大きなぼけが、
ローストビーフへ視線を導いてくれました。
撮影する側から見ると、
狭い場所では「邪魔なものをどう避けるか」に意識が向きがちです。
僕はまず、その場所にしかない重なりを探します。
避けられないものを消すのではなく、前景として使える位置まで自分が動く。
すると空間の狭さが、見る人を調理のすぐそばへ連れていく距離感に変わります。
この写真では、それがBerryの仕事を身近に
感じてもらうための大切な要素になりました。
Berryの一杯を、受け取る前から伝える写真へ
完成したローストビーフ丼には、
完成写真の役割があります。
この一枚には、その料理が生まれる場所を伝える役割があります。
どちらか一枚だけではなく、
商品、調理、作り手、キッチンカーの空気をつなげて残すことで、
お店の印象はより具体的になります。
福井県で飲食店やキッチンカーの
撮影をご検討の方には、完成したメニューだけでなく、
その商品を選びたくなる背景まで一緒に考えながら撮影しています。
「料理は撮りたいけれど、何をどこまで撮ればお店らしさが伝わるのか分からない」
という段階でも大丈夫です。
僕自身が現場を見ながら、そのお店だから残す意味のある瞬間を探します。




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