
こんにちは。
カメラマンの松山文弥です。
このラーメンを前にしたとき、
僕が一番残したかったのは「麺がスープをまとっている、その瞬間の艶」でした。
チャーシュー、メンマ、紫玉ねぎ、白髪ねぎと、画面の中にはいくつもの具材があります。
それでも主役は麺です。
料理写真では具材をきれいに並べて見せることも大切ですが、
この一枚では少し違います。
見た人の視線が自然と麺へ落ち、
そのまま箸を伸ばしたくなる。
メニューを見る人に味を説明する前に、まず「食べたい」と感じてもらえる写真を目指しました。
スープをまとった麺の艶を、いちばん近くで見せる
この写真では丼全体を見せず、
かなり近い距離まで入っています。
僕が見ていたのは、麺一本一本の表面にできる細かな光です。
スープをまとった麺には乾いた麺にはない滑らかな艶があり、
その反射が麺の立体感とみずみずしさをつくります。
だから光を正面から均一に当てて明るくするのではなく、
麺の凹凸に沿って明るい部分とわずかな影が残る状態を選びました。
光が強すぎれば表面が白く飛び、逆に弱ければ艶が沈みます。
撮影中は「明るいか」よりも「スープの膜が見えるか」を見ています。
この判断ひとつで、写真から感じる温度や口当たりは大きく変わります。
チャーシューを見せながら、麺から視線を奪わせない
右側には大きなチャーシューがあります。
存在感の強い具材なので、すべてをくっきり見せると主役が二つになってしまいます。
そこで麺の面積を大きく取り、
チャーシューは画面の端へつながる配置として残しました。
手前の麺から右側のチャーシュー、奥の薬味へと視線が動くことで、
一杯の中に奥行きも生まれます。
料理撮影で僕が意識しているのは、
写っているものを全部説明しようとしないことです。
何を見せたいのかを決めたら、それ以外の要素は主役を支える位置へ置く。
今回ならチャーシューのおいしさを消すのではなく、
麺を見たあとに気づく存在にする。
その順番が、この写真には必要でした。
紫玉ねぎと白髪ねぎが、茶色の世界にリズムをつくる
ラーメンはスープ、麺、メンマ、チャーシューと暖色系の色が多くなります。
その中で奥にある紫玉ねぎの色と、
中央を横切る白髪ねぎの明るさが小さなアクセントになっています。
特に白髪ねぎは、麺の流れとは異なる方向へ伸びています。
この線が入ることで、画面全体が同じ方向へ流れすぎず、
中央付近で一度視線が止まります。
僕は撮影するとき、具材を「何が載っているか」だけでは見ません。
色、線、明るさとして見たときに、
その具材が画面の中でどんな役割を持つのかを考えます。
料理そのものを変えなくても、
見る高さや距離を少し変えるだけで、薬味ひとつの役割まで変わってきます。
丼を切ったからこそ、食べる人の距離になった
画面下には丼の縁が大きく入り、
器そのものは途中で切れています。
商品を正確に見せる写真なら、
丼全体が分かる構図も必要です。
ただ、この一枚で伝えたかったのは器の形ではありません。
目の前にラーメンが置かれたときの近さです。
そこで少し低い位置から麺の面へ入り、
丼の奥まで見通せる高さにはしませんでした。
上から見れば具材の配置は分かりやすくなりますが、
麺の重なりやチャーシューの厚みは弱くなります。
この高さなら麺の層が前後に重なり、
スープの表面にも奥行きが出ます。
料理撮影で高さを決めるときは、単に「斜め45度」と考えるより、
その料理の何を立体として見せたいのかを先に決める。
そのほうが構図の理由が明確になります。
おいしさを説明する前に、写真でひと口目を想像してもらう
飲食店の写真は、
料理を記録するためだけのものではないと僕は考えています。
WebサイトやSNS、メニューでこの写真を見た人は、
まだ香りも味も知りません。
そこで判断材料になるのが、麺の艶、スープの質感、
具材の厚みといった視覚から受け取れる情報です。
写真の第一印象で「この麺をすすってみたい」と感じてもらえれば、
その感覚が来店や注文を考える入口になります。
福井県で飲食店や料理の撮影をするときも、
僕が考えるのは写真単体の美しさだけではありません。
その店の料理は何が魅力なのか。お客様はどこを見たときに食欲が動くのか。
そこから逆算して、光の位置やカメラの高さ、寄る距離を決めています。
写真から伝わる「食べたい」を、店の強さに変える
今回の一枚では、ラーメンという料理を全部見せるのではなく、
スープをまとった麺の艶へ視線を絞りました。
情報を足して豪華に見せるより、食欲につながるものを見つけて、
そこへ写真の力を集中させる。
そのほうが料理の個性は伝わります。
飲食店のWebサイトやメニュー、SNS用の写真を見直したとき、
「実物はおいしいのに、写真ではその魅力が伝わっていない」と感じることがあります。
そんなときは料理をどう撮るかだけではなく、
お客様に最初に何を感じてもらいたいのかから一緒に考えています。
福井県で料理や店舗の写真を整えたいときは、
今ある写真や使いたい媒体を見ながらご相談ください。
僕は、その一皿のおいしさが写真の先で来店や注文につながるところまで考えて撮影します。




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