
こんにちは。
カメラマンの松山文弥です。
企業や店舗から撮影をご依頼いただいたあと、
「写真は納品してもらったけれど、Webサイトに数枚載せただけ」
「Instagramに一度投稿して、そのままになっている」
というケースは意外と多いです。
僕は、それでは少しもったいないと思っています。
プロに依頼して撮影した写真は、
納品された時点がゴールではありません。
Webサイト、SNS、広告、チラシ、店頭ツールなどへ展開し、
何度もお客様との接点をつくってこそ、撮影にかけた費用がブランドの資産へ変わっていきます。
今回は、添付した「ぶどうのティラミス」のビジュアルを例に、
一度の撮影をどう活用すればいいのかを考えてみます。
一枚の商品写真は「写真」で終わらせなくていい
今回のビジュアルで主役になっているのは、
器いっぱいに盛られた葡萄です。
緑と紫の実を大きく切り取り、
その上に「TIRAMISU」「ぶどうのティラミス」「葡萄」という文字を重ねています。
写真単体で見せるのではなく、
商品名と組み合わせることで、ひと目で商品の存在を認識できる広告へ変わっています。
特に大きな「葡萄」という文字と、
画面からはみ出すほど寄った写真の組み合わせには強い視認性があります。
店頭で一瞬しか見てもらえない場面でも、
SNSをスクロールしている場面でも、
まず「何の商品だろう」と視線を止めてもらう入口をつくれます。
撮影した写真の価値は、きれいに写っていることだけではありません。
どこで、どんな大きさで、どんな言葉と一緒に見せるかによって、その働きは変わります。
Webサイトに載せたら終わり、ではもったいない
商品撮影をした場合、
最初に思い浮かびやすい用途はWebサイトやオンラインショップです。
ただ、同じ写真はInstagramの投稿、ストーリーズ、Googleビジネスプロフィール、
店頭POP、メニュー、ポスター、チラシ、広告バナーなどにも展開できます。
今回の葡萄の写真なら、
Webサイトでは商品の質感をしっかり見せるメインビジュアルとして使い、
SNSでは大胆にトリミングして新商品を知らせる。
店頭では商品名を大きく入れたポスターとして使う。
用途が変われば、写真に担わせる役割も変わります。
一枚を何度も同じ状態で使い回すのではなく、接点ごとに見せ方を変えることが大切です。
Instagramでは「全部見せる」必要はありません
SNSで写真を活用するとき、
納品された写真をそのまま投稿しなければならないわけではありません。
今回のように葡萄そのものに強い色と質感がある写真なら、
一部分を大胆に切り取るだけでも投稿の表情を変えられます。
全体を見せる投稿、葡萄へ寄った投稿、文字を配置した告知画像。
それぞれ元になる写真が同じでも、役割は別です。
僕が商品撮影で余白や被写体との距離を考えるのも、
この「撮ったあとの使われ方」があるからです。
撮影時に完成された一枚だけを目指して画面を詰めすぎると、
あとから文字を置いたり、縦長や横長へ展開したりする余地がなくなります。
写真を撮る側にとっても、構図を決める前に
「この写真は最終的にどこへ載るのか」を考えることは、とても重要な判断だと思っています。
チラシやポスターにすると、写真は実店舗の接客にもなる
今回のビジュアルは、写真の上へ商品名を配置することで、
店頭に置ける販促物として成立しています。
ここで重要なのは、情報を詰め込みすぎていないことです。
写真そのものに葡萄の瑞々しさや色の美しさがあるため、
言葉ですべて説明する必要がありません。
写真に任せる部分と文字で伝える部分を分ける。
そのバランスによって、商品をまだ知らない人にも第一印象で興味を持ってもらえます。
店舗撮影や商品撮影というと、Web用の素材をつくるイメージが強いかもしれませんが、
写真は実店舗の入口、レジ横、テーブル、ショーケース周辺など、お客様が商品を選ぶ場所でも働いてくれます。
同じ写真でも、トリミングで役割は変えられる
写真を有効活用するうえで、
僕が特に意識してほしいのが「縦・横・正方形」の違いです。
Webサイトの横長バナーとInstagramの縦長投稿では、
必要な画面がまったく違います。
今回の葡萄の写真も、器の全体を必ず見せるのではなく、
葡萄の断面や水分を感じる表面を残しながら切り取ることで、
より強いビジュアルにできます。
撮影する側から見れば、これは納品後だけの話ではありません。
現場でファインダーを覗いたとき、僕は主役だけではなく、
その周囲にどれだけ逃げを残せるかも見ています。
少し距離を取るのか。
どちら側に余白をつくるのか。
背景に不要な要素を入れないためには高さをどうするのか。
こうした判断は、写真を単体作品として完成させるためだけではなく、
広告やデザインへ渡したときの自由度にもつながります。
「何枚納品されるか」より「何に使えるか」で撮影を考える
撮影を依頼するとき、
「何カット撮ってもらえるのか」は気になるところだと思います。
ただ僕は、枚数と同じくらい
「その写真を何に使いたいか」を考えていただくことをおすすめしています。
新商品の発売なら、商品ページだけでなく、
発売前の告知、発売日のSNS、店頭POP、広告、季節のキャンペーンまで想像してみる。
必要な写真が具体的になります。
メインになる写真、商品の細部が伝わる写真、
文字を載せやすい写真、縦で使いやすい写真。
目的が見えていれば、撮影現場でつくるべきバリエーションも変わります。
撮影枚数を増やすことが目的ではなく、
一度の撮影から使える場面を増やすことが大切です。
写真に文字を載せるなら、撮影前から考えておく
今回のチラシを見ると、
「葡萄」の大きな文字が写真の横へ入り、「TIRAMISU」が上部を横断しています。
こうしたデザインを想定するなら、撮影時点から文字が入る場所を考えられます。
僕自身、広告やWebサイトで使う撮影では、
主役を常に中央へ置けばいいとは考えていません。
文字が入る側を空ける。
商品の輪郭と文字がぶつからない位置を探す。
背景の明暗を見て、文字が読める場所を残す。
写真として見ると何もない余白でも、
デザインにとっては重要なスペースです。
撮影する人にとっては「何を入れるか」と同じくらい
「何も置かない場所をどこにつくるか」が、写真の用途を広げる判断になります。
一度の撮影から、発信を数週間、数か月へつなげる
撮影した日にすべての写真を公開する必要もありません。
例えば新商品の撮影なら、
発売前は一部分だけを見せて興味をつくり、
発売時にはメイン写真を使い、
その後は商品の細部や製造風景を発信するという流れも考えられます。
一度の撮影素材を時間軸で分けて使えば、
一回の投稿ではなく継続したコミュニケーションになります。
季節商品であれば、翌年の告知や予約開始時にも活用できる可能性があります。
写真をフォルダの中の「納品データ」として考えるのではなく、
自社が発信するための素材として管理しておくと、活用方法はかなり広がります。
撮影前に「使い道」を共有すると、写真はもっと働く
福井県で企業や店舗の撮影をしていると、
撮影そのものだけでなく
「この写真をWebとInstagramの両方で使いたい」
「チラシにも展開したい」
といった相談をいただくことがあります。
僕にとって、この情報は撮影の判断材料です。
使う媒体が分かれば、必要な余白、距離、アングル、縦横のバリエーションまで考えられます。
今回の葡萄のように、商品の色や質感そのものが強い場合は、
余計なものを足さず、主役を大きく見せたほうが伝わることもあります。
現場では「きれいだから撮る」のではなく、
何を最初に感じてもらいたいかを決め、そのために光や距離を選びます。
写真を撮る人にも、この順番はぜひ意識してほしいところです。
構図やライティングから考え始めるのではなく、
「この一枚に何をさせたいか」から逆算すると、選ぶ光も余白も変わってきます。
写真の価値は、撮影した瞬間ではなく使われた先にある
僕が撮影で大切にしているのは、
写真そのものをゴールにしないことです。
商品がおいしそうに見える。
その店へ行ってみたくなる。
会社への信頼が生まれる。
サービスについてもっと知りたくなる。
写真を見た人の気持ちが少し動き、その先の行動につながって初めて、
ビジネスにおける写真の力が発揮されます。
今回の「ぶどうのティラミス」も、
葡萄を美しく撮るだけなら一枚の商品写真です。
そこへ言葉とデザインが加わり、人の目に触れる場所へ置かれることで、
商品を知ってもらうための広告になります。
プロに撮影を依頼した写真が眠っているなら、
新しく撮る前に、今ある写真をどこまで展開できるか見直してみるのも一つです。
そしてこれから撮影するのであれば、
「何を撮るか」だけでなく「撮った写真をどこで、どう使うか」
までぜひ聞かせてください。
僕はその先まで想像しながら、必要な一枚を考えます。




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